TOP > 映画保存協会について > 設立趣旨書
映画が誕生して100年あまり、映画は時代を映す鏡として人類とその歴史をともに歩んできました。しかしながら、それは映画の保存という面では受難の歴史でした。新たな作品が次々と生み出される一方でその媒体である映画フィルムの保存は見過ごされ、その間にも天災や戦災、さらには人災によって多くの貴重なフィルムが失われてしまいました。とりわけわが国は世界有数の映画大国であるにもかかわらず、映画保存に関する社会の関心はきわめて薄く、保存活動もいまだ十分ではありません。商業映画ばかりでなく記録映画や個人のホームムービーにいたるまで、過去のあらゆる映像は歴史的資料としての価値を潜在的に有しています。これらを保存し、未来へと託してゆくためには、行政や映画会社の努力に加えて《映画フィルムは文化財である》という意識を社会全体で共有しなければなりません。
私たちはこのような現状を踏まえ、2001年に任意団体「映画保存研究会スティッキーフィルムズ」を設立し、2005年以降は同「映画保存協会」として、家庭に眠るフィルムの魅力を再発見し、保存を促進するイベント「ホームムービーの日」の実施や、失われた映画の発掘・復元、および映画保存に関する情報の収集・提供といった事業を行いその大切さを広く社会に訴えてきました。さらに今後はこれまでの事業に加えて映画フィルムの保存に関する調査や情報提供及び映画保存の専門家の育成や行政・企業による映画保存事業の支援を行い、あらゆる映画フィルムを人類共通の文化遺産として保存継承してゆく社会の実現に寄与することを目指します。映画フィルムの一コマは私たちの歴史と文化を写したかけがえのない一コマです。どんなに小さなフィルムでもそれを守ることは私たちの歴史と文化を守ることにつながります。
以上の活動を行うにあたって、活動の多くは長期的な継続によってはじめて成果を得られる性質のものであり、また市民の理解と協力を得るには社会的信用が欠かせず、また法人解散後の財産を公共のものとするためにも、任意団体や他の法人格ではなく、特定非営利活動法人の設立が妥当であると考えます。
特定非営利活動法人映画保存協会
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