試案:ホームムービーの分類

はじめに

映画フィルムの形状や内容は多種多様ながら、地域コミュニティに根づいた映画保存の実践において扱う機会が多いのは、家庭に眠る8mmフィルム等の小型映画——いわゆるホームムービー——です。そこで小会は2009年から2010年にかけて、民間所有の8mmフィルムのデジタル変換を日常業務とする団体に計500件以上のデータをご提供いただき、内容の傾向調査を行いました。その結果を踏まえてインスペクション・シートを改訂し、ホームムービーを分類)し、タグ付けし、関連する固有名詞の抜き出しと詳細な内容記述を加えることで、優先的に救済すべきホームムービーを導き出しています。以下は、この分類法を5段階で示したものです。

傾向調査に協力してくださった皆さまに、心より感謝いたします。

なお、以下は適切なインスペクション作業を前提とした分類とお考えください。8mmフィルムのインスペクション・マニュアル及びインスペクション・シートは「小型映画ヒント集」からダウンロード可能です(*以下の分類番号はシート上の番号と異なっています)。

>> 小型映画ヒント集

分類1

(1-A)市販のフィルム以外
(1-B)市販のフィルム ⇒除外

8mmフィルムには、例えば『スター・ウォーズ』のような大ヒット作の8mmフィルム版のように、かつて家庭用に市販されていた商品(パッケージ資料)等も含まれます。これらも貴重な動的映像資料の一種ですが、ここでは除外して考えます。

分類2

(2-A)作品としての体裁が整っている(トップタイトルand/orクレジットタイトルand/orキャプションand/orナレーションand/orエンドマーク等が加えられているand/or編集されている)フィルム
(2-B)編集個所(スプライス等)がなく、クレジットも加えられておらず、作品としての体裁が整っていないフィルム
(2-C)撮影失敗等の理由により全編にわたって事物が判別できないand/or未現像and/or劣化が過度に進行している(解いたり巻き直したりできない)フィルム ⇒除外

ただし「2-C」が廃棄処分の対象になるとは限りません。「3-C」に該当するフィルムについては、複数選択可能です。なお、題名は原則としてフィルム上のトップタイトルから採録します。トップタイトルがない場合は箱書きやメモ書き等から採録して(括弧)に入れ、文字情報がない場合は内容から創作して[括弧]に入れます。その際、明らかな誤字脱字は修正し、旧字体は新字体に置き換えています。

分類3

「2-A」と「2-B」をさらに3分類します。

(3-A)1本または1作品が1ロール(巻)を構成する独立したフィルム
(3-B)1作品が複数ロールにまたがるフィルム(前・後編等)
(3-C)独立したフィルムや作品が複数接合されて1ロールを構成するフィルム(オムニバス等)

「3-C」は例えば「入学式」「お誕生日」「クリスマス会」の3本が1ロールにつながって、結果的に「子どもの成長記録」になることもあれば、1970年撮影の「運動会」と翌1971年の「運動会」が接続されて1ロールになっていることもあります。同一ロールにカラーフィルムと白黒フィルムが混在したり(1-A)も(1-B)含むあらゆるフィルムが1ロールを構成することも考えられます。「分類3」を明らかにした上で、原則として1ロールを1アイテムとして内容記述を行います。

分類4(タグ付け1)

複数選択可能です。現在のところ文京映像史料館では、主に「3」=文京区のフィルムについて、「いつ・どこ・なに」に主眼を置き、内容の詳細記述を行っています。

1 海外
2 国内
3 地域性★
4 家庭、家族
5 仕事、職場
6 スポーツ
7 冠婚葬祭
8 伝統行事
9 社会性/歴史性★

分類5(タグ付け2)

乗り物が記録されているかどうかを確認します。複数選択可能です。 

1 自動車
2 鉄道
3 船舶
4 飛行機
5 自転車

優先順位

救済の優先順位付けのため、点数制を採用します(当てはまるもの1つにつき1点★)。

○ 分類「2-A」に該当するフィルム
○ 地域性:「分類4」の「3」に該当するフィルム
○ 劣化度:インスペクション・シートから判断して劣化の兆候が見受けられるフィルム、あるいは劣化の進行したフィルム
○ 撮影年/形状:1950年代以前のフィルムand/orダブル8(または戦前の16mm、9.5mm)
○ 内容:地名/学校名/社名などが判明しているand/or歴史的事件や決定的瞬間をとらえている(「分類4」の「9」)and/or今はもう存在しない建造物等が記録されているフィルム

これからの調査のために

「2-B」のように、ホームムービーは作品としての体裁が整っていないことが多く、追加調査による撮影年and/or撮影場所and/or撮影者の特定が重要になります。文京区は文京のくらしを記録した映画フィルムの探索を継続しつつ、2015年度より、これまでにデジタル化したホームムービーのアクセス提供も開始します。これによって新たな情報が寄せられることもあるかもしれません。持ち主の証言とフィルムの内容とを紐付けること、『日本目録規則1987年版改訂3版』(2006)の第7章 映像資料や、AMIM2(2000)等の目録規則の参照、そして項目ごとの記述ルールの再検討等が今後の課題です。

参考文献
>> 地域で残そう映像史料 第1回 実務者からの提言
>> 映画保存資料室[目録]

Language: English

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