《ホームムービーの日》で過去に上映された作品を世界中から集めて収録したDVD『 Living Room Cinema/お茶の間映画館』(制作:CHM)が、東京藝大で開催されるこのイベントにて上映されることになりました。
2008年3月29日 14:00〜 & 30日 16:30〜
詳細はこちらに掲載される予定です。
アントニオ・ネグリ来日プロジェクト
http://www.negritokyo.org/
ネグリさんとデングリ対話@東京藝大・上野
<マルチチュード響宴>
2008年3月29〜30日
映像プログラム — まなざしの反転 <その痕跡と兆し>
「マルチチュード」とは「多数」とか「民衆」と訳されますが、ネグリさんはこの言葉に「一つの勢力でありながら、多様性を失わない、また多様性を失うことも求められないような多数者」という意味を込めているそうです。尚、同イベントではネグリさん関連映像のほか、「山谷(やま)─やられたらやりかえせ」、「幽閉者」、「三里塚 辺田部落」といった国内の作品も上映されます。ぜひお出かけください。
当日の配布資料に以下の文章が掲載されました。
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アメリカの友人から「国際的な記念日《ホームムービーの日》のお知らせ」が届いたのは2003年の春のことだった。曰く、地域の住民に声を掛けて家庭に眠るフィルムを集め、その場で検査・補修して次々上映し、一緒に鑑賞する日。なんだかよくわからないけれど、開催予定地すべてが北米の都市であることが気に入らない、という感想を伝えたら「だったらあなたが日本で開催しなさいよ」とやり込められてしまった。
記念すべき第1回HMD、豊橋の老舗ジャズ喫茶「グロッタ」に集まったのは凡そ20名。「死んだ父ちゃんの」シングル8を持ち込んだ旧知の映写技師仲間がつぶやくことには「うわ母ちゃん、若いなあ」。「こんなのみてどうすんの」と渋りつつも、友人の上司が若き日の自作実験映像を映写機にかけると、そのレベルの高いことといったら!「おじさん、やるじゃん」。どうしたことか、店の中の知らない者同志が会話をはじめていた。
子どもの成長記録に学生時代のちょっと恥ずかしい自主映画。確かに、大切なフィルムには違いない。しかし名もなき市井の人々の記憶のかけらなど、文化遺産として守り残していく価値はあるのだろうか?私の中にあったそんな疑念は、あの豊橋の夜にすっかり消えてしまった。残酷なまでに、しかしあくまで繊細に、せつない思いをスクリーンに蘇らせ、時に持ち主を深く傷つけもする底知れない力が、銀塩フィルムは宿っている。
映写機操作講習会を独自に催したい、助成金も必要だろうか、映写機のメンテも兼ねて定期的に上映会を開かねば……成すべき仕事は山積みとなり、以来、アマチュア・フッテージを救うための実践活動に泥臭く関わることになった。とうの昔にホームムービーの魅力に気付いていた各地の仲間と出会い、様々な知恵を授かりもした。今や世界10カ国、65会場(国内13会場)が参加するHMDを国際的なイベント呼ぶことに、何の躊躇もない。
第6回HMDは、ユネスコの「世界視聴覚保存の日」に連動して2008年10月18日(土)に開催される。世界中の会場で映写機が一斉にカタカタと音をたてるその日が待ち遠しい。
石原香絵(NPO法人映画保存協会)
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