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映画保存協会の竹森朝子です。私からは「ホームムービーの日 Home Movie Day」、略して「HMD」の国内開催状況について簡単にご説明します。
スライド2
HMDは、子どもの成長記録、地元のお祭り、学生時代の自主映画など、地域や家庭に眠る映画フィルムを内容問わず持ち寄って上映する、国際的な記念日です。ホームムービーは個人の記録であるだけでなく貴重な映像史料であるため、フィルムそのものを捨てないで残すことを訴える日でもあります。毎年10月の第3土曜日に世界中で開催され、今年は21カ国84会場で開催予定です。国内では、2003年の第1回より、私どもの主催で愛知、福岡の2会場で開催しました。
スライド3
第1回より私どもは国内でのHMD普及につとめ、各会場の担当者(これを「世話人」と呼びます)のサポートとネットワーク作りを進めておりました。内容としては、スライド3の通りです。
例えばフィルムの持ち主がなくなった時、引っ越しの時、年末年始の大掃除と、常に失われる危機にあるホームムービーですが、全国各地でHMDが開催されることにより、存在を思い出してもらう、久々にお蔵出しをしてもらうことにつながります。
そのため、私どもは1つの会場の規模を広げることではなく、新たな会場を増やすことにつとめてきました。
スライド4
これ(スライド4)が10年の開催状況です。
記念すべき第10回目の2012年には国内19会場開催となりました。この年、継続開催している世話人に加え、関東・中部・四国で初開催の世話人が6名誕生、第1回から10回まで開催に関わった世話人は約40名、開催会場はのべ93会場、1回あたりの上映フィルム10本として、10年で約930本は上映されたことになります。
実は私も青森県弘前市で2006年より開催して今年で10年目になります。機材も持たずフィルムのことをよく知らないままではじめましたが、今日この後演奏されるサイレント映画ピアニスト・柳下美恵さんにも何度か弘前においでいただいています。柳下さん、いつもありがとうございます。
スライド5
徐々にではありますが、開催地が増えた要因としては、開催の様子をマスコミを通じて知った、会場のスタッフであったり観客であった人が開催する側になった、といったように、開催情報が公表されることでHMDついて知り、体験する人が増えたことで自然に広まったことがあげられるかと思います。
また、簡単に開催できることもあげられるでしょう。無料の会場や、機材を持っている人を探して、開催すればそんなにお金はかかりません。スタッフは最低3人いればできます。フィルムがなければ他の開催会場から借りることもできるでしょう。
スライド6
こちら(スライド6)にありますように、私どもでは世話人の方から初開催の方に向けたメッセージをいただいたりしていました。
私どもの世話人のサポートは第10回で一区切りいたしましたが、2013年の第11回以降も継続会場の世話人が中心となってゆるやかにつながり、ML等で情報交換を行っているようです。インスペクション講習会や映写機操作講習会は私どもの団体会員が引き続き行っています。
スライド7
開催地はやや減少傾向にありますが、ホームムービー・センターへの登録状況を見ると、今年も14会場、本日10月17日にはこの京橋会場の他5会場での開催が予定されています。今日、こちらでの上映の後に間に合う会場としては、根津会場があります。
スライド8
以上、お話ししたような国内開催状況については、私どものウェブサイトで公開しています。
私どもでも、引き続き、HMD普及のためウェブページをはじめSNSでの情報発信や、世話人のみなさまのご協力を得ての開催資料の収集、「今年の一本」DVDの作成等の活動を行っています。
スライド9
今年は、日本の「ホームムービーの日」の共通ロゴマークの募集も行い、希望される会場でポスターやチラシに使ってもらっています。
また私どもの会員が開催する会場では、「映画フィルムを捨てないでください」というカードおよび「家庭でもできるフィルム保存の手引き」を添えることをこころがけ、フィルムの保存をささやかに訴え続けています。
スライド10
以上で発表を終わります。
*『NFCニューズレター』124号(2015年12月-2016年1月号)の「連載 フィルムアーカイブの諸問題 第91回」(p.14)に「国際的な記念日〈ホームムービーの日〉の活動とこれから」が掲載されました。ぜひご覧ください。
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