ホームムービーの被害にどう対処するか

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ホームムービーの被害にどう対処するか

ハリケーン救援

水害を受けたフィルムにすべきこと

ハリケーン・カトリーナが米国に大きな被害を及ぼした際、映像アーキビスト協会(AMIA)のHPに掲載された情報を和訳して2005年に公開したものです。ご参考になさってください。NFSAのミック・ニューンハム氏も執筆を担当されています。


万一フィルムが水害を受けたら、できるだけはやい時期にフィルムアーカイブか現像所に連絡して、今後の処置についてアドバイスを受けてください。フィルム素材の安定性に影響を及ぼす要因は多様で、状況もそれぞれ違います。以下の提案は総合的なアドバイスであり、特定の状況に適合するものではありません。

  1. 安全が確認されるまで被災地には入らないこと。確かにフィルムも重要ですが、あなたの命はそれ以上にずっと大切なものです。
  2. 安全が確認できたら、すみやかにフィルムを探してください。濡れてしまったフィルムは他のいかなる視聴覚メディアよりも急速に劣化する可能性があります。
  3. 以下の手順に従って、あるいはフィルムアーカイブや現像所の指示に従って、フィルムの損傷を最小限に留めてください。作業は単純化して、あまり手をかけすぎないようにしましょう。つまり、とりあえずフィルムの安全を確認し、実践的な救済・保存のための作業は経験のある専門家に任せるのが賢明です。
  4. 思い入れが深いフィルムを優先的に扱ってください。ホームムービーはかけがえのない存在ですが、商業映画とは違います。ラべルやフィルム缶に書かれた情報を参照すれば、どのフィルムを一番大切に救うべきか、選別することができるでしょう。
  5. フィルムは大切に扱ってください。濡れてしまったフィルムは、とても脆くなっていますので、とくに注意してください。内容を確認したいからといってフィルムをリールから引き出してはいけません。フィルムの内容がはっきりしない場合は、想像で補うしかありません。この時点でフィルムを引き出してしまうと、ほぼ確実に損傷の原因となります。
  6. 乾いているフィルム、つまり濡れていないフィルムをわざわざ水に浸すことはありません。涼しくて清潔で安全な場所に、例えばプラスチック袋に入れて冷蔵庫に保管するなどしてください。直射日光の当たる所は避け、できれば日陰で風が入るところ、通気性のよいところが望ましい置き場です。そうすることで必要以上の乾燥を防ぐことができます。そして素早く現像所に送って検査を依頼してください。袋に入れたフィルムを何週間も冷蔵庫に放置しないでください。洪水を被った地域のフィルムはたいてい、湿気からくる被害を受けています。
  7. 濡れているフィルムは濡れたままにしておいてください。フィルムを守るにはこれが最善の方法となります。濡れたまま、清潔で、涼しく、安全で、障害物のないところに置きます。同じ容器の中にフィルムを複数入れてもかまいません。できれば蒸留水/冷水を使ってください。なければ冷たい水道水で代用してください。それもなければ、手に入るできる限りの冷たい水を使ってください。フィルムの全体が水に浸かっていることを確認し、必要に応じて水を容器に注ぎ足してください。できれば水は毎日(それが無理でもできる限り頻繁に)取り替えてください。フィルムをかき回さないようにしてください。濡れたフィルムはとてもデリケートなのです!
  8. 数日以内にフィルムの処置ができそうなら、容器の中に入れたままにしておいてください。容器の全体を濡れた布で覆えば、フィルムを冷やせるでしょう。バケツ一杯の清潔な水をフィルムに近い涼しい場所に蓄えておいてください。そうすれば容器に水を注ぎ足すことができます。容器はプラスチック製のタッパーのような、ふたがしっかり閉まるものがベストです。プラスチック製のバケツ又はゴミ箱も良いでしょう。ふたのない容器にはきれいな布をかぶせて、汚染物質の影響を防いでください。
  9. 油性マーカーを使って、ケースや缶に番号を書いてください。同じ番号を紙に書いて、フィルムの箱に書いてある情報(名前、日付、場所など)を全て写してください。こうすると、後でその情報とフィルム自体とを照合するのに便利です。数日以上水に浸かった後だと、ケースに書いてある情報は読めなくなっているかもしれません。
  10. フィルムを現像所に持ち込み、3日以内に処置をしてもらってください。

詳しい情報は、「水害についてのFAQ」をご参照ください。

オーストラリア国立フィルム&サウンドアーカイブ保存・技術サービス部主任研究員 ミック・ニューンハム(著)
協力:オーストラリア・フィルム・コミッション、映像アーキヴィスト協会(AMIA)

送付するフィルムの記録を残すこと

現像所にフィルムを送る準備かができたら、フィルムの細かい記録をきちんと残してください。最も重要なのは、容器に入れたフィルムの情報とフィルムそのものを関連付けることです。そうしないと、後でフィルムの内容を識別するのが難しくなります。その方法は……

  1. フィルムが入ったケース、缶、リール(直接容器にペンで書けないときは粘着力が長持ちするテープ)に油性ペンでID番号を与えます。またはフィルムリーダーに番号を記入します。フィルムのケースが水中でばらばらになっている場合、ID番号は現像所にフィルムを送る前にリールかリーダーに書き写しておく必要があります。
  2. ケース、缶に書いてある情報を全て紙に書き写してリスト化します。日付、名前、場所などフィルムの内容に関する全ての情報です。その情報の脇にケースやリールに与えたのと番号と同じID番号を書いてください。
  3. できればケースや缶の情報を手で書き写す代わりに、デジカメで写真を撮ってください。写真には容器に振ったID番号や情報(日付、名前、場所など)を入れてください。フィルムの内容を識別するのに役立ちます。フィルム缶や箱に情報を書く場合、ペンの種類によっては水に浸かると短期間しかもちません。このために識別システムが重要になります。

洪水の被害を受けたビデオテープの救済

  • 濡れたテープは再生しないこと。
  • テープのケースや送付用の箱は防水されていません。外側が濡れていれば、中もたいて濡れています。
  • 濡れたテープの処置は一刻を争うものです。
  • 水そのものよりも、水中の汚染物によって被害が大きくなることがあります。水に含まれる危険な汚染物といえば、塩分・糖分・塩素・下水の汚水などがあります。
  • 蒸留水/冷水に入れることで、酸化鉄のテープに損傷を与えることなく寿命を延ばすことが、場合によっては可能です。ただし金属粒やメタルの含まれるテープは長い間濡れたままにしておくと酸化し、破壊されてしまいます。
  • 濡れたテープの冷凍乾燥はお勧めできません。
  • 濡れたテープからは、至急汚れを除去してください。濡れている間に修復の専門家が作業を引き受けてくれれば、最善の結果が得られます。
  • テープは丁寧に扱ってください。水は磁気テープの物理的構造に悪影響を及ぼします。伸びたり、裂けたり、エッジが破壊されたりします。
  • 処置を施すまでの間はテープを涼しく換気のよいところに置いてください。凍らせてはいけません。
  • ケースの中に入り込んだ水が広がっててしまうのを防ごうとするあまり、テープの方向を変えてはいけません。
  • 濡れたテープに付いた汚染物はなるべくはやく洗い流さなければなりませんが、くれぐれも丁寧に取り扱い、蒸留水/冷水のみを使ってください。水道水は塩素を含む可能性があるので使わないでください。
  • 屋内で乾かすには、冷たくて乾いた空気の中にテープを置くのが最良の方法です。
  • 屋内で乾かすとテープが変形したりカセットの内部に粘着したりすることもあります。
  • 挟まった紙やダンボールは全て取り除いて、菌が繁殖する可能性を抑えてください。
  • 濡れたテープは弛緩剤で少なくとも二重に包んで、丈夫なケースに収納し、運送中の衝撃や露出から守ってください。

情報提供
Peter Brothers
President
SPECS BROS., LLC
www.specsbros.com

(翻訳・中川望 2005.08 改訂 K 2011.03)

Language: English

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