[作品解説]海浜の女王・解説

蒲田モダニズムの名コンビによる大活劇

1927年 松竹蒲田 モノクロ スタンダード サイレント 15分(ダイジェスト版/16fps)

◎今年、”八十年前の「女装」映画発見”として話題になった『海浜の女王』が、復元を終えてついに公開される。蒲田モダニズムを代表する名コンビ、牛原虚彦監督・鈴木伝明主演による、貴重な現存作品の一つとしてはもちろん、若くして引退した伝説のモガ女優、柏美枝に出逢える今のところ唯一のフィルムとして公開が待ち望まれていた。オリジナルは六巻からなるが、今回復元のもとになったフィルムは[松竹グラフ]として市販されていた十六ミリの短縮版で、ある地方の旧家の蔵から発見されたものである。 ある大事件の証拠をめぐって新聞社間の激しい争奪戦が勃発。青年記者・石川は敵の目を欺くために謎の美女に扮し、証拠の死守をはかる。二枚目スターの鈴木伝明が花も恥じらう(?)女装姿で繰り広げる、水泳あり、カーチェイスあり、乱闘ありの大活劇が見どころ。撮影時には実際に女性と間違われ、危うく口説かれそうになるという場面もあったとか。(永野武雄)

第五回京都映画祭公式カタログp30(特別上映作品 復元プロジェクト)より採録

監督=牛原虚彦、原作=津久秋良、脚本=小林正撮影=水谷文治郎、配役=鈴木伝明(石川利雄/石川絹枝)、柏美枝(今田志保子)

映画保存協会 映画の里親第二回作品

フィルム提供=財団法人鎌倉市芸術文化振興財団

復元協力=日本大学藝術学部映画学科

Language: English

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