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「映画の里親」制度

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〈映画の里親〉制度

〈映画の里親〉制度 Adopt a Film 2005-2010

市民の力で映画保存を—

映画保存協会の会員が発掘した映画フィルムの復元に必要な資金提供者=里親を募り、お名前を復元版の冒頭にクレジットして、劇場公開にもっともふさわしい35ミリ版に蘇らせます。

この文章は、〈映画の里親〉制度について小会の考えをまとめたものです。2007年度、2010年度に改訂を加えました。さらに詳しく知りたい方は、はじめて物語番外編 「映画の里親」もぜひご一読ください。

〈映画の里親〉制度とは?

〈映画の里親〉という名称は海外のフィルムアーカイブでたびたび使用されてきた《Adopt-a-Film》を和訳して取り入れたものです。

戦前の日本では、家庭用に小型映画のフォーマット(16ミリ・9.5ミリ)で劇映画の短縮版が販売されていました。いまだ家庭や地域に眠っているかもしれない幻の映画を発掘するために、若きフィルム探偵達は日夜努力を重ねました。

このプロジェクトでは、1本の作品の復元に必要な資金の提供者=里親を募り、そのお名前(または団体名)を復元版の冒頭にクレジットしました。復元資金を抑えるため、対象作品はパブリック・ドメインの短編に限り、作品ごとの復元資金はおよそ50万円(ただし復元するフィルムのフォーマット、長さ、劣化、発注する現像所や使用する技術によって、この金額は大幅に増減します)。

資金提供者とFPSとは「協約書」を交わすことが多く、復元版の冒頭クレジットの記載内容は資金提供者と事前に協議しました(第4回以降は、最終的にFPSが決定できるように改めました)。初号試写には現像所での勤務経験のある第三者に同席をお願いし、アドバイスをいただきました。また、復元版の権利はFPSに帰属するものとし、収蔵先もFPSが決定しました(湿度・温度のコントロールされた長期保存にふさわしい専門倉庫に収蔵されるよう努力しました)。フィルム探偵が発掘したオリジナルに関しては、持ち主の思いを最大限に尊重し、お手元に返却する場合もあれば、相応しい収集保存機関へ寄贈する場合もありました。

FPSのメンバーは〈映画の里親〉プロジェクトを通じて、発掘・調査・補修・復元・上映・保存という一連の流れを経験しました。これは、映画保存を学ぶ場のない日本においては確かに貴重な機会でした。どれくらい資金が必要なのか、ラボではどのような作業が可能なのか/不可能なのか、無声映画の上映に必要な条件は何か、どうしたら一人でも多くの方にご覧いただいて保存の大切さを訴えることができるのか……? 映画保存のために何かしたい、という情熱だけで入会した会員も、〈映画の里親〉を責任もって担当しました。

〈映画の里親〉を通じて、一般の映画ファンの方に映画保存を身近に感じていただけたのであれば嬉しく思います。

《映画の里親》プロジェクトにより復元された作品

*すべての作品のDVD(英語字幕付)は映画保存資料室に所蔵しています。研究や上映にお役立てください。
*上映・活用履歴はこちらです。

第一回(2005年)

aaf01『モダン怪談 100,000,000円』[松竹グラフ版]
1929年/松竹蒲田/白黒/無声/15分(16fps)
監督:斎藤寅次郎
原作:大森文雄
脚本:池田忠雄
撮影:武富善男
出演:斎藤達雄、松井潤子
資金提供:斎藤稔、斎藤昌康、斎藤厚生
復元:(株)育映社

お披露目上映:東京国立近代美術館フィルムセンター(生誕百年特集 映画監督 斎藤寅二郎と野村浩将)

ネガ寄贈先:東京国立近代美術館フィルムセンター
ポジ寄贈先:東京国立近代美術館フィルムセンター

復元報告・作品解説
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第二回(2006年)

aaf02『海浜の女王』[松竹グラフ版]
1927年/松竹蒲田/白黒/無声/15分(16fps)
監督:牛原虚彦
原作:津久秋良
脚本:小林正
撮影:水谷文二郎
出演:鈴木伝明、柏美枝
資金提供:財団法人鎌倉市芸術文化振興財団
復元協力:日本大学芸術学部映画学科
復元:今田長一

お披露目上映:第五回京都映画祭(2006年10月25日)

ネガ寄贈先:東京国立近代美術館フィルムセンター
ポジ寄贈先:財団法人鎌倉市芸術文化振興財団、日本大学芸術学部映画学科

作品解説
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*復元報告はありません。
*郷土史研究をされている方より、テラスのある西洋風の邸宅一帯はかつて横浜港南区にあった「福本ぶどう園」であるとご教示いただきました。同園創設者の自叙伝に、松竹が何度か映画ロケに使ったらしきことが書かれています。

第三回(2007年)

aaf03『学生三代記 昭和時代[マキノ・グラフ版]』
1930年/マキノ・プロダクション/白黒/無声/15分(16fps)
監督:川浪良太、滝澤英輔、久保為義
原作:八田尚之
脚本:八田尚之
撮影:三木稔、松浦茂、大森伊八
出演:津村博、横沢四郎
資金提供:東京国立近代美術館フィルムセンター、立命館大学アート・リサーチセンター マキノ・プロジェクト
復元:(株)IMAGICA

お披露目上映:東京国立近代美術館(フィルムセンター生誕百年 映画監督 マキノ雅広(2))

ネガ寄贈先:東京国立近代美術館フィルムセンター
ポジ寄贈先:東京国立近代美術館フィルムセンター、立命館大学アート・リサーチセンター マキノ・プロジェクト

復元報告
作品解説(立命館大学准教授・冨田美香氏による「『学生三代記』報告」)リンク切れ
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第四回(2007年)

aaf04『霧隠才蔵[パテベビー版]』
制作年不明/白黒/無声/3分(16fps)
監督:不明
原作:(立川文庫)
脚本:不明
撮影:不明
出演:林誠之助
資金提供:ソウル・チュンムロ国際映画祭(CHIFFS)
復元:(株)IMAGICAウェスト、(株)東京光音

お披露目上映:第一回ソウル・チュンムロ国際映画祭(CHIFFS)(2007年10月30日)

ネガ寄贈先:京都府京都文化博物館
ポジ寄贈先:ソウル・チュンムロ国際映画祭(CHIFFS)

復元報告
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作品解説はありません。

第五回(2009年)

aaf05『黒手組助六[マーヴェルグラフ版]』
1929年/松竹キネマ(下加茂)/白黒/無声/16分(16fps)
監督:冬島泰三、古野英治*
原作:前田弧泉
脚本:前田弧泉
撮影:杉山公平
出演:林長二郎(黒手組助六)、若水絹子(揚巻太夫)、高田浩吉(傳次)、中根龍太郎紀(伊国屋文左ェ門)、坪井哲(鳥井新左衛門)
16ミリ版編集:内藤友弥
資金提供:長谷川稀世
復元:(株)IMAGICAウェスト

*古野英治と吉野英治は同一人物だが、作品ごとに表記が異なる。本フィルムでは「古野英治」とクレジットされている。

お披露目上映:京都府京都文化博物館(第4回映画の復元と保存に関するワークショップ)

ネガ寄贈先:京都府京都文化博物館
ポジ寄贈先:京都府京都文化博物館

復元報告
作品解説
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第六回(2010年)

aaf06『ターチャンの海底旅行[パテベビー版]』
1935年/白黒/無声版/7?分(24fps)
スタッフ:日立二郎(原作)、原田誠一(撮影)、日立二郎(編曲)、政岡映画音楽部(伴奏)、J. O. トーキー・スタジオ(録音)
資金提供:第5回映画の復元と保存に関するワークショップ
復元:(株)IMAGICAウェスト

お披露目上映:恵比寿映像祭

ネガ寄贈先:神戸映画資料館
ポジ寄贈先:神戸映画資料館

復元報告
インタータイトル抜き書き(英訳あり)
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作品解説はありません。

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