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東京現像所・共進倉庫見学会 報告

中川 望

kyoshin2010年5月12日(水)、京王線つづじが丘駅に集まったFPS会員5名と一般参加の5名は、共進倉庫さんのご用意くださった車に分乗して、東京都調布市・府中市にまたがる3つの倉庫をご案内いただきました。共進倉庫株式会社(小会法人会員)はトランクルームや倉庫業務を主に行っておられますが、調布市内には現像所がいくつかある関係で、各社からフィルムを一時的に預かって保管する倉庫としても長年機能しています。どのフィルムにも、一つずつに番号を発行してバーコードが貼り付けてあります。このバーコードにより、フィルムが今どの棚にあるか、どこの劇場で何番のフィルムが上映され、終了後に返却はなされたか、きちんと把握できるシステムになっています。

最初に訪れた倉庫では、背の高い棚には様々な年代、サイズのフィルム缶が高く積み上がっていました。また、本社内では各地の劇場に本編や予告編フィルムを送付する業務も行っておられるとのこと。全国の劇場で上映されるメジャー作品ともなれば、予告編だけでも数種類、相当な本数に上ります。各現像所から届いたフィルムを、間違いなく滞りなく送るのは大変な業務だと思いました。午後は府中市の多摩川沿いに新しく設けられた冷蔵倉庫を見学させていただきました。こちらは元々スーパーの物流センターとして使われていた倉庫に、新たに除湿機と棚を入れてフィルム専用に改造したものです。 倉庫には扉が二つあり、まず「ならし」の部屋で靴をスリッパに履き替え、次の扉を開けると倉庫内に入る仕組みになっています。環境は気温5℃・湿度40%で、倉庫の奥に置かれた大型の除湿機は少しでも湿度が上がると自動的に動き出します。低温内で湿度を押さえるのはかなり難しかったとのお話にご苦労が感じられます。こちらの倉庫は運営を始めたばかりで、まだ稼働率は高くありませんが、倉庫に入れる前はビネガーシンドロームがかなり進行していたフィルムも冷蔵倉庫内に入れたところ、においがかなり押さえられているとのこと。現在通常の倉庫に置いてあるフィルムも徐々にこちらに移動できるようにお話をしていければとのことでした。

15時からは株式会社東京現像所に移動し、3つの現像機が動いている部屋から順にご案内していただきました。私がとても興味深かったのは東宝のフィルムの調査作業です。ここでは、東宝の倉庫から定期的に運ばれてくるフィルムの状態を3名体制で調査しています。大変古いフィルムもあって、ダメージなど状態の判定や基本情報のデータ化は、熟練の技能者の方々が作業されても膨大な量だと思うのですが、着々とプロジェクトを進行されている姿はさすがと思いました。ビネガーシンドロームの判定はADストリップで行っていて、チェック後のストリップの断片を表に貼って報告にも添付しています。

さらに、デジタル復元の作業室もご案内いただきました。例として、褪色したしまった作品の色補正を拝見しました。暗部や肌色などを基準に合わせていくのですが、元の褪色から考えると、なかなか衝撃的に変わります。修復においては監督や撮影監督、助手につかれていた方に伺いながら作業を進めていくのですが、その当時できなかった技術がデジタル上では可能なため、極端に言えば当時の失敗まで修正できてしまうそうです。

見学を終えた後の質問時間では、デジタル復元の際の「正しさ」や立脚点をどこに置いたらよいのか、という点について、参加者からも質問が寄せられました。

最後に、今回の見学会を快く受け入れてくださいました共進倉庫の田澤宏和様、桑山周三様、東京現像所の渡辺明男様、そしてお仕事中にもかかわらず、私どもを温かく受け入れてくださった各社の皆さまに心より感謝申し上げます。

(映画保存協会メールマガジン『メルマガFPS』Vol. 59【映画保存見聞録 第12回】および「映画保存協会年報2010」より)

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