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16mmフィルムのビネガーシンドローム対策

作成:2014.01.25

収集保存機関の棚にはたくさんの16mmフィルムが眠っています

16mm
図書館や公民館等に併設されていることの多い視聴覚ライブラリーには、多くの16mmフィルム(教材映画、劇映画、アニメーション…)が貸出用として収蔵されています。こうした16mmフィルムは大抵の場合、映写用のリールに巻かれ、右の画像のように正方形のケースに入った状態で、常温の収蔵室の棚に保管されています。ケースの中のフィルムは薄手の保護袋に入っている場合もあります。年に1回程度の頻度で袋/ケースからフィルムを取り出し、状態を確認しながら巻き返すことが推奨されますが、その際に酢酸臭を発しているフィルムが見つかることもあるかもしれません。

全国の視聴覚ライブラリーのリスト(16mmフィルムの所蔵本数)を当HPの「リンク集」に掲載しています。
視聴覚ライブラリーの16mmフィルムの保護袋にはショーレックスという名称の半透明のサラサラした手触りの袋が適しています(「ショーレックス」で検索してみてください)。ただし、東京国立近代美術館フィルムセンター(NFC)のように保護袋の使用を禁止しているフィルムアーカイブもあります(小会主催によるNFC相模原分館見学時のヒアリングによる)。

ビネガーシンドロームに特効薬はありません

フィルムの酢酸臭は劣化が進行している証拠です。この症状を〈ビネガーシンドローム〉と呼びます。もはや劣化の進行を止めることはできませんが、冷蔵または冷凍保管することによって、進行を遅らせることは可能です。残念ながら、今のところほかに対処方法はありません。また、劣化したフィルムの上映は控えるべきです。

酢酸の吸着シート等も販売されていますが、主に小ロールのマイクロフィルム用に開発された商品と思われ、劣化した映画フィルムに使用しても効果は期待できません。また「劣化フィルムは常温でも発火するので極めて危険」といった記述を見かけることがありますが、それはナイトレート・フィルムの特徴です。16mmフィルムはアセテート・フィルムという種類で、燃えないわけではありませんが、常温で自然発火することはありません。その点はご安心ください。

冷蔵倉庫がある場合

温度と湿度が低く一定に保たれた適切な収蔵環境をお持ちの場合で、上映も外部への貸出しもされないのであれば、フィルムをリールから外して3インチのコアに緩く巻き直し、長期保存用の通気の良いケースに入れ替え、水平置に保管します。劣化しづらい素材のコアを購入してください。ケースの設計にもよりますが、複数のケースを積み重ねないでください。劣化が進行しているフィルムを袋やケースから出して巻き返すと酢酸臭が弱まることもありますが、劣化の進行が止まるわけではありませんので、低温低湿の環境で保管し続けてください(ケースやコア等の購入先については別途ご相談ください)。

冷蔵倉庫がない場合

適切な収蔵環境をお持ちでない場合は、民間企業が提供している映画フィルム専用の倉庫にお預けになるか、あるいは映画フィルム専用の倉庫(ビネガー専用室等)を備えた収集保存機関への寄贈・寄託を検討してください。ただし、図書館等で利用されてきた16mmフィルムは快く受け入れていただけなかったり、劣化を理由に断られたりすることもあります。どうにか受け入れていただけても、フィルムの送料負担が生じるかもしれません。また、場合によっては寄贈手続きに長い時間(数ヶ月〜1年以上)を要することもありますので、救済するにはそれなりの覚悟が必要です。どうかあきらめずに頑張ってください。小会では寄贈仲介のボランティアも行っていますので、お気軽にご相談ください。

>> 映画保存リンク集:フィルムアーカイブ

>> 映画保存リンク集:関連企業(→「4. 収蔵庫」へ)

劣化が進行しているフィルム、またはコレクション全体に対してできるいくつかのこと

物理的な状態の確認と簡易的な目録の作成

最低限、手元に何があるのか把握してください。寄贈時に目録が必要になることもあります。

収蔵環境や劣化状況等の記録

フィルムごとにカルテを作成し、可能であればフィルムの外形や劣化部分等を撮影しておくと役立つことがあります。小会ではカルテの雛形を3種(簡易版、通常版、35mm用)ご提供しています。また、調査マニュアルの配布や研修も行っています。

ビネガーシンドロームに感染したフィルムの隔離

酢酸は、劣化していないフィルムに悪影響を及ぼします。紙資料や人体にも害があるといわれます。

唯一無二のフィルムかどうかの確認

制作会社や収集保存機関に電話して同作品の原版やプリントの所蔵の有無を確認したり、全国のフィルムライブラリーの所蔵目録と照合します。

>> 映画保存リンク集:日本映画のデータベース

コンテンツ救済のためのデジタル化の検討

本来は権利者に無断で複製することはできませんが、唯一無二と思われるフィルムの劣化が進行しているのであれば、デジタル化するしか救済の道がない場合もあります。フィルムによっては利活用に向けて映画研究者やテレビ局等の協力が得られるかもしれません。

フィルムを捨てない

フィルムを廃棄処分される際は、小会までご相談ください。小会ではフィルムの蒐集は行っておりませんが、ボランティアで適切な寄贈先を探してご紹介しています。

詳しくは「映画保存とは」(『フィルム保存入門』等の基礎テキスト)をご参照ください。また、ご意見ご質問等もお気軽にお寄せください。

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