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3月9日に「フィルムに残る文京のくらし vol.009 総集編」を開催

第9回目となる今回は「総集編」。ゲストにサイレント映画ピアニストの柳下美恵さんをお迎えします。
現在この上映会のチラシを現在配布中ですので、広報にご協力いただけるようでしたらぜひご一報ください。
どうぞよろしくお願いいたします!

>> 文京映像史料館 巡回上映会 フィルムに残る文京区のくらし vol.009

「映画保存とは」に「16mmフィルムのビネガーシンドローム対策」を追加

小会ではこれまで、16mmフィルムを主に扱う視聴覚ライブラリーを見学させていただいたり、図書館から16mmフィルム廃棄のご相談を受けたりしてきました。とりわけビネガーシンドローム対策については、お金をかけずにどうにかしたいというご相談を度々お受けします。そこで、「16mmフィルムのビネガーシンドローム対策」をまとめてみました。

>> 16mmフィルムのビネガーシンドローム対策

「視聴覚アーカイブ活動:その哲学と原則」日本語改訂版を公開

映画保存協会では、2009-2010年に勉強会形式でレイ・エドモンドソン著「視聴覚アーカイブ活動:その哲学と原則 Audiovisual Archiving: Philosophy and Principles」の日本語版を改訂し、2013年のユネスコ〈世界視聴覚遺産の日〉を記念してPDFを公開することになりました。
掲載が予定より大幅に遅れましたことをお詫び申し上げます。

>> 視聴覚アーカイブ活動:その哲学と原則

[AAF]「映画の里親作品 上映・使用履歴」を更新

2014年2月15日、桜美林大学公開講座・桜美林大学アカデミーにおいて、映画の里親第二回作品『海浜の女王』がDVD上映されることになりました。講師はサイレント映画ピアニストの柳下美恵さんです。詳しくは「サイレント映画事始め@桜美林四谷シネマ」をご覧ください。

>> 映画の里親作品 上映・使用履歴

>> サイレント映画事始め@桜美林四谷シネマ

映写技師のオーラルヒストリー・プロジェクトに協力

モントリオールの出版社カブース(caboose)が映写に関する出版物を企画しています。その企画から派生した「プラネタリー・プロジェクション」というオーラルヒストリー・プロジェクトも進行中です。コーディネーターはMarina Uzunovaさん。既に世界中の映写技師のインタビューが集められています。日本からもぜひ協力したいと思い、川崎市市民ミュージアム等で映写のお仕事をされている神田麻美さんにお話をうかがいました。神田さんは「かきおとしプロジェクト」を主宰し、国内の映写技師の声を記録してもいらっしゃいます。ぜひご覧になってください。また、皆さまもぜひこのプロジェクトにご参加ください。

>> Planetary Projection Mami Kanda – My “Older Brothers”(英語)

>> かきおとしプロジェクト

(要旨)※以下は原文の和訳ではありません。
私の場合、映画に興味があったのですけれど集団作業が苦手なので、大学では写真を専攻しました。映写の仕事を学んだのは大手の現像所/ポスプロ企業です。大学最後の年にバイトで入って、卒業後も同じ職場の映写部門で仕事を続けました。

現像所時代の映写の失敗で、試写会で音を出し忘れたことがあったんです。配給会社の社員から状況説明を促されたのですが、人前で話すことに慣れていなくて、その場を混乱させてしまいました。あの時は本当に落ち込みました。トラウマになっています。映写室に籠っているばかりでは社会人として成長できないのでは?とまで思いました。

完璧な映写をすれば、喜びが得られます。でもそれは誰かと分かち合える類いのものではないので、とくに最後のロールが終わりに近づく頃には孤独感がつのります。ただし、その孤独感が嫌いなわけではないんです。

仕事を辞めて結婚しました。辞めた理由は、映写室の暗闇の外に出る必要を感じたからですが、どういうわけか、また映写の仕事をするようになりました。経験を積んだので、あの頃よりずっと落ち着いた気持ちで仕事をしています。フリーで働いている現在の方が責任は重く感じます。現像所時代は確かに緊張感を強いられましたが、それでもやはり職場に守られていました。

現在の主な仕事場は川崎市市民ミュージアム、シネカフェsoto、国際交流基金の3カ所です。川崎は公共フィルムアーカイブでもあり、未だフィルム映写、しかも切り返し用の銀テープすら使いません。そのやり方が気に入っています。カフェ/レストラン兼上映施設は珍しくはありませんが、sotoはなんと35mm映写機を備えています。キッチンでの仕事がメインで、必要あれば映写まわりも手伝います。貸出用プリントのチェックを担当している国際交流基金の仕事も楽しいですね。ほかにも映画祭や上映会等、呼ばれたところに出かけて行って映写をしています。

映写室での働きぶりを異常だといわれることもあります。セットしたフィルムを何度も繰り返し確かめたりするので… 。ループのつくりかた一つにしても微妙な違いが気になりますし、別の人がセットしたフィルムの映写はできれば避けたいです。安定した気持ちで映写をするために、通勤ルートを変えないとか、映写室にどちらの足から入るか決めている映写技師の知人もいますが、その気持ちは理解できます。

友人(永吉洋介さん)の影響で映写機の魅力にも気づきました。さすがに映写機に名前までは付けませんが、仕事のはじまりには声をかけます。彼らは一緒に働く兄弟のような存在。なぜ姉妹でなく兄弟なのかわかりませんが… 両親が経営していた工場で働いていた人たちのこと、機械や油の臭いなどを思い出すからでしょうか。

フォルムに人間味があって気に入っているのはフジセントラル、通称フジセンです。某所のフジセンがキノトンに置き換わったときは寂しかったですね。当初は戦闘機を製造していたのですが、後に映写機製造に切り替えたという富士精密工業の歴史も含めて好きなんです。

映写技師の団体に所属していたこともあります。2名1組で映写技師を派遣するので私はベテランと組むことが多くて、ベテラン映写技師のお話があまりに面白かったので取材を開始しました。2013年11月現在、計9名にインタビュー済みです。書き起こしを有料の冊子として販売して、最終的には書籍として出版する予定です。次々と映画館が閉館に追い込まれる中、手遅れ感は否めないですけれど、今からでもできる限り映写技師の言葉や写真を記録して共有したいと思います。映写技師に光を当てることで、映画館に行きたくなる人もいるかもしれません。

東京を中心に、映写の仕事に携わる若手の仲間が25名くらい、年2回のペースで集っています。私は人的なネットワークに恵まれていて、例えば仕事先で映画館主が古い映写機を処分しようとしていたら修理人を紹介できます。実際に、それで考えを変えた映画館もあるんですよ。

若い人に映写を教えてほしいと頼まれたら喜んで教えます。映写の仕事では食べていけないのが現実ですが、私は古い映画館の雰囲気や、映写の技術を残したいですし、そのために何かしたいんです。自分に合った方法で、今やるべきことを進めているところです。